記憶がおぼろげすぎたので「あげまん」をもう一回観てみた
こんにちは、花枝です。
前回の記事で書いたことですが、宮本信子さんの芸の幅が光る映画「あげまん」という映画があります。
自分の記憶もかなりおぼろげだったので、再度DVDを借りてきました。
「あげまん」とよばれる女性の人生を描いた映画
伊丹十三作品の中では5作目にあたる今作ですが、主演はもちろん伊丹監督の奥方・宮本信子です。
芸者の置屋に中学時代に預けられたナヨコは、立派な芸者として成長します。ナヨコと付き合うとその相手の男性の運気はどんどん上がっていき、次第にナヨコは「あげまん」と呼ばれることに。
最初に水揚げしてくれた旦那の死をきっかけに、ナヨコは銀行に勤めます。仕事は順風満帆。家も死んだ旦那が用意してくれた家に一人で住んでいます。
そのナヨコも30代を迎え、次第に結婚を視野に入れた自分の幸せについて考えることに…。
「あげまん」としての運を手に入れるため、ナヨコの周りの男たちはナヨコを手に入れようと奔走しますが、ナヨコ本人はそんな身勝手な男たちの行き方にどんどん疲弊していきます。唯一、「君の運じゃなくて、君自身が欲しいんだ!」とアプローチしてきた清水(津川雅彦)に心惹かれるものの…
…ちょっと時系列が違うかもしれませんが、こんな感じのストーリーです。
誰か綺麗にまとめてほしい!
…見ながらけっこうナヨコが可哀想になってきた
いや、私久々に見て思ったんですけど
「あれ?こんなナヨコ可哀想な映画だっけ??????」
と頭がこんがらがりました。
伊丹十三の映画に出てくる女性って、基本的に奥さんである宮本信子が演じているのですよ。
で、まあ、なんというか、どの作品の女性も強いのですよ。すごく。
柔らかくって、優しくって、ユーモアがあって…心身的にも強いのです。
このナヨコももちろん強い女性です。
支店長に出世した恋人の清水が出社直前にビクついている姿を見ると
「思いっきりやってみなさいよ!あなたがクビになったって、あなた一人ぐらい私が養ってあげるわよ!」
と、笑顔で言えるところ、やっぱり強い女性なんだと思います。
でも、あげまんの属性目当てに寄ってくる男や、男の利己的で勝手な行動にとばっちりを受けている描写も多いんですよ。
そして肝心の恋人の清水もロクでもねえ男でして…
ナヨコがいるのに他に3人も女を外に作るうえに、運が向いてきて仕事が絶好調になったらナヨコを捨てて資産家の娘とよりを戻そうとするし、自分は浮気しときながらナヨコが政界の大物に手篭めにされた時は「あいつと寝たのか!?信じられない!」と非難するし……
いや、もう書きながらこれただのひどい男!どうしようもない奴じゃあありませんか!
「でも、男はこういう女が好きなんだろ?」って聞こえるような
ナヨコは愛嬌があって、疲れた男を癒してくれて、割と度量も大きくて、いい女だと思うんです。
清水が別れた女とヨリを戻そうとした時だけすごく怒っていましたが、基本的には男を許してしまう属性なんだと思います。
そういうナヨコを見ていると、
「なんだかんだ言って、男はこういう女が好きなんだって。
愛嬌がある、気がきく、浮気は許してくれる、落ち込んだら持ち上げてくれて、なんかあったら助けてくれる女だよ。」
…と言われているようで…。
本当は宮本信子の三味線と踊りが見たかっただけなのに、ちょっとナヨコの人物像と伊丹監督のメッセージについて考えてしまいました。
実際タイトルは「あげまん」なのですが、ナヨコがあげまん属性で幸せになったシーンは…ないんですよね。どちらかというと、その属性でナヨコ自身はどんどんすり減っていると思いますし。
そうそう、三味線と舞踊の事ですけどね…
うん、やっぱり上手かったです!
こう書いてしまえばそれまでなのですが、やはりとってもお上手です!日本舞踊も三味線も唄も、どれもお上手でした。
(とても失礼に聞こえてしまうかもしれませんが)
宮本信子さん自身ももちろんお上手ですが、舞妓や芸者のシーンで演奏している方々の腕前も素晴らしかったです。
特にナヨコが芸者として復帰するシーンで流れる「夜桜」は三味線の音も柔らかく、澄んだ音色でした。あんな音が出してみたいですね。
覚えている曲は
・せつほんかいな
・浅ゐ川
・夜桜
あたりが流れていた…かと。
というわけで、映画「あげまん」の再視聴感想でした。