象牙のバチは時代錯誤で国際感覚が欠如している?
こんにちは、花枝です。
今日は三味線の演奏に使う象牙の撥(バチ)について、私の一意見を書いてみます!
- きっかけはこのツイートから…
- そもそもどうして象牙を使うの?
- 三味線の撥は象牙だけじゃないよ
- 私の場合…象牙の撥は新しいのは買わない!
- 象牙の撥は時代錯誤で国際的な非難を受ける?
- たくさんの方に三味線を知ってもらうには…
- 関連記事
きっかけはこのツイートから…
先日目にしたこちらのツイートを見て、考えました。
⑩一方、日本は未だに象牙に固執している。象牙が判子や三味線のばちの材料として使われており、政府は今後も国内取引を継続する方針だ。恐るべき時代錯誤と国際感覚の欠如。私の愛する祖国はいつから冷笑を受ける国になったのか pic.twitter.com/VSlyBpPVUh
— 三浦英之 (@miura_hideyuki) 2017年7月8日
象牙の取引が今なお日本国内で続くことは、時代錯誤であり国際感覚の欠如である…ということです。
そもそもどうして象牙を使うの?
三味線に関わらない一般の方から見れば
「どうして象牙の撥を使うの?」
と不思議に思われることと思います。
これに対しての答えは
「プラスティックの撥と象牙の撥では、音色が違うからです。」
おそらく、全国の三味線演奏者の大半もそのように答えると思います。
音色の良さを追求するために象牙を使っています。
三味線の撥は象牙だけじゃないよ
三味線の撥に象牙が使われているのは事実です。
ただ、全てがそうだというわけではなく、撥は
- 木材
- プラスチック
- アクリル
などからでもつくることができます。
また、象牙の代わりになるようなプラスティック撥の開発も進んでいますし、撥先だけ象牙にする技術もあります。
象牙だけではなく、三味線の皮も
- 猫の皮
- 犬の背中の皮
を使いますが、今では合皮を使ったり、ヤギやカンガルーの皮をなめして使ったりする三味線屋さんもあります。
(ただ、カンガルーに関してはまだ一般流通はしていません。)
撥も三味線の皮も、技術の進歩は進んでいるのです!
私の場合…象牙の撥は新しいのは買わない!
私のケースをお話しします。
私が今所持している象牙の撥は3挺(ちょう、と読みます)あります。
これは全て私が買った物ではありません。
お師匠様から譲っていただいた、もしくは形見分けとして頂いた物です。
それを大切に使っています。
今のところ、新しい象牙の撥を購入する予定はございません。
頂いた物を大切に使い続けます。
少なくとも私が生きている間に、新しい物を購入する必要はないでしょう。
象牙の撥は時代錯誤で国際的な非難を受ける?
私が海外で三味線を演奏したり、外国の方の前で三味線を演奏するときに気をつけることは
三味線という楽器や邦楽が”国際的な誤解”を受けないように解説する
ことです。
まず、三味線の皮が猫や犬の皮を使っているという点。
これは現代の日本で話しても、場合によっては眉をひそめられる場合が増えてきました。
これに関しては、「本当のこと」はもちろん話します。猫の皮を使っている、という事実です。それを話をした上で、
「ですが、現代はプラスティックの皮を使う技術も進歩している。」
ということをしっかり伝えます。
象牙の撥のことに関しても、同様に伝えます。
あとは、海外に行くときは象牙の撥は持って行きません。
(取り上げられる可能性が高いのと、自ら地雷を踏まないためです。)
まずは、
- 三味線の皮
- 象牙の撥
が国際的には少し眉をひそめられたり、拒否される可能性がとても高いということを知った上で紹介しなければいけないと思います。
たくさんの方に三味線を知ってもらうには…
私の先輩からは
「どうして他所の国から、日本の文化をとやかく言われなければいけないんだ!」
という意見もありました。
その意見も、気持ちも、とても分かります。
ですが、
犬や猫や像を愛する人に三味線の良さを知ってもらうチャンスを、自ら潰しに行く必要はない…
と、私は考えています。
犬や猫や像を愛する人にも三味線の良さを知ってもらえれば、私は嬉しいです。
今は技術の発達しています。もちろん昔から使われた技術の音にはまだまだ叶わないところはあると思いますが、それでもこれからの進歩に期待したいと思っています。
「昔からこうだから、このやり方じゃないとダメだ!」
というのでは、きっと先行きは暗いと思います。
私は世界中のたくさんの人に三味線を聞いてもらいたいと考えています。
そのためには、こちらの文化に合わせてもらうだけではなく、こちらから海外の基準に合わせざるを得ない場合もあります。
これが今の私の考えです。
まだまだ勉強不足なところがあると思いますし、これに関してはこれからの演奏&指導活動を通じて考えていくテーマなのかと思っています。
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