冨田伊織さんが語る「透明標本展」の魅力&楽しみ方
こんにちは、花枝です。
今日は前回に引き続き、高知県立美術館で開催中の「透明標本展」の続編です。
今回は透明標本の作家である、冨田伊織さんの講演会から
- 透明標本の作り方
- 透明標本の魅力
- 透明標本の楽しみ方
を紹介していきます。
- 前回の記事での透明標本
- 透明標本の工程と製作期間…かなりの手間です!
- 冨田さんが語る透明標本の楽しみ方
- 冨田さんに質問!「一番大変な工程は?」
- 昆虫は透明標本にはできない!
- 人体の透明標本も…出来る?!
- 「家族の一員だった魚を標本に…」というオファーは!?
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前回の記事での透明標本
ひょんなことから知った「透明標本展」ですが、ただいま高知県立美術館で絶賛開催中です。
そして嬉しいことに…透明標本作家の冨田伊織さんの講演会にお誘い頂きましたので、行ってきました!
前回記事では初めて見る&触れた透明標本の魅力をお伝えしました。
今回は冨田さんのご講演の中から抜粋して、透明標本の魅力をお伝えしていきます。
透明標本の工程と製作期間…かなりの手間です!
まず、透明標本は以下の8つの工程から出来上がります。
- 素材集め
- 魚の形を整える
- 保存液につける
- 皮やウロコをとる
- 軟骨を青色に染色する(個体によって時間を変える)
- タンパク質を分解する(5日から2週間ほど)
- 恍惚を赤紫色に染色する(1〜3日ほど)
- 仕上げる
うわーー!
やはりかなりの工程を経て作られています!!
一つの作品を仕上げるまで半年から1年ほどかかるそうです。
この作業工程の中でどれが一番手間がかかりそうか…
後で冨田さんに質問してみましょう!
冨田さんが語る透明標本の楽しみ方
講演会の中で冨田さんが語られた「透明標本の楽しみ方」で、面白いと思ったものを抜粋します。
生き物の捕食の様子をとらえた透明標本は必見!
今回の展示の中にも数展あるそうですが
生き物が生き物を捕食した様子を標本にしたもの
は必見だそうです!
魚が寄居小さい魚を捕食したり、蛇がカエルを捕食したものなど…
これは冨田さん自身も
「まさに自然の摂理の瞬間をとらえた瞬間であり、力強さを感じる瞬間」
と話されており、お気に入りの標本なのだそうです。
また捕食の瞬間を標本にするのはすごく難しいそうで、うまくいけば捕食された生き物の骨もうまく残るそうですが、大抵は消化されて骨がバラバラになってしまうそう。
捕食側の骨がきれいな形で残るのは”相当稀”なことだそうです。
オタマジャクシやモトロの透明標本
今回の展示では
オタマジャクシからカエルに変わる工程の標本
も展示されています。
これもオススメだそうです。
そして、必見はこの標本!
[新世界]透明標本2: New World Transparent Specimens 2
- 作者: 冨田伊織
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/07/16
- メディア: 大型本
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写真集「透明標本2」の表紙にもなった、淡水エイのモトロの標本!
これは幻想的で美しいですね…。
そして、高知県でよく獲れる「のれそれ」。
穴子の稚魚なのですが、これの標本も「ぜひ見て欲しい!」のだそうです。
写真の撮り方を楽しんで欲しい!
そして、今回は写真撮影、SNS拡散推奨のイベントです!
冨田さんとしては「写真を楽しんでとって欲しい!」のだそうです。
例えばこんな構図。
透明標本と作家の富田伊織さん#高知県立美術館 #富田伊織 #透明標本展 #kochi #wonderful #artwork
透明標本と作家の富田伊織さん#art #kochi #ioritomita #高知 #高知県立美術館 #透明標本展 #透明標本 #beautiful #wonderful
そう、透明標本にものすご〜く近づいて、その背景に人物がボンヤリ映るという構図!
これは私が「冨田さんの語るオススメ構図」を真似て頑張って撮ったものです。
冨田さんに質問!「一番大変な工程は?」
講演会の最後には冨田さんへの質問コーナーがありました。
まず質問してみたのは
「作業工程の中で一番大変なことはなんですか?
…ちなみに私は皮はぎやウロコ取りだと思うんですけど…。」
やはり、一番大変なのは”下処理”なのだそうです。
写真で見てもお分かりの通り、透明標本の生き物はとても小さいです。
皮を剥ぐときに、うっかり小さな骨を飛ばしてしまったり、うまく処理しきれない時も結構あるのだそうです。
そういった標本は
富田伊織さんのご講演のなかで、透明標本に触れる体験をしました。
— 花枝(hanae)@三味線小唄はてな (@hanae_kiryuin) July 29, 2017
意外としっかりしています!#透明標本 #高知県立美術館 #透明標本展 #富田伊織 pic.twitter.com/CjRG63FRYg
こんなふうに”触れる”標本として活用したりするんだそうです。
昆虫は透明標本にはできない!
ツイッターにも書いたのですが、これはフナムシの透明標本です。
フナムシの透明標本!
— 花枝(hanae)@三味線小唄はてな (@hanae_kiryuin) July 30, 2017
なんか…カッコイイ。
でも、昆虫の透明標本は作れないのだそうです。#透明標本 #高知透明標本 pic.twitter.com/h7igWVBTiV
「フナムシができるのなら、昆虫も透明標本にできるのでは?」
という質問がありました。それに対して、冨田さんご自身も昆虫の透明標本を作ろうとされたこともあったそうです。
ですが、残念なこと(?)に昆虫は骨がなく、色がうまく染まらなかったため出来なかったのだそうです。
透明標本は昆虫は作れないのですが、オオグソクムシは作れる!
— 花枝(hanae)@三味線小唄はてな (@hanae_kiryuin) July 30, 2017
まあ、甲殻類だもんねえ。#透明標本 #高知県立美術館 #高知透明標本 pic.twitter.com/rbrlBTmW53
人体の透明標本も…出来る?!
そして気になった方もいるのではないでしょうか?
「人体の透明標本は作れるの…?」
これは”理論上はできる!”のだそうですが、出来ても胎児の大きさぐらいだろう…と話されていましたし、冨田さん自身も作る予定はないそうです。
「家族の一員だった魚を標本に…」というオファーは!?
最後にこれは個人的にも気になったのですが、もしかしたらこれほど美しい標本が残せるのなら
「買っていた大事な魚を標本にして欲しい!」
というオファーがあるんじゃないかな?と思いました。
その予想は当たっていたようで、過去に何件か「ペットを標本にして!」という問い合わせがあったそうです。
ただ、冨田さん自身はそれらを基本的に全てお断りしているとのことでした。
<ご講演を終えられた後の冨田さん>
冨田さんのお話はとても興味深く、そして透明標本に触れたのは本当に素晴らしい経験ができました!
高知にお住まいの皆様、夏の日はぜひ透明標本で生き物の神秘に触れてみませんか?
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