「かしわ」と「柏餅」の思い出
こんにちは、花枝です。
備忘録がてら、思い出したことをつらつらと。
5月5日、こどもの日。
こどもの日といえばスーパーや和菓子屋さんで、柏餅が売られています。
私はこの柏餅を見るたび、思い出すことがあります…。
時は軽く10年以上前…、当時私は大阪の三味線のお師匠様のところへ弟子入りしていました。
男性の先生でした。とても厳しく、怒り出すと怖くて近寄れませんでした。三味線の稽古でも音を外すとよく
「バカ!よくそんな音で弾けるな!」
と怒られたものです。芸事に厳しく、耳が鋭いお師匠様でした。
私はお師匠様のご自宅の近くにアパートを借り、お稽古に行っていました。
その日もいつものようにお稽古に行きました。
一通りお稽古が終わり
「ああ、今日もいっぱい叱られたな〜。」
と意気消沈して帰り支度をしていると、先に一階の今に降りたお師匠様が私を呼びます。
「おい、今からちょっとスーパーで”かしわ”買ってきてくれ。」
と、お師匠様が千円を私に差し出しました。
かしわ?
かしわ??
かしわ???
その時、季節はすでに梅雨どき。とっさに私は
「先生!もう”柏餅”はスーパーに売ってないと思います…。でも、行ってきます!」
と言いました。
そう、柏餅のことだと思ったのです。そして、5月5日を過ぎているからスーパーにはないと思ってそう言ってしまいました。
……3秒ぐらい間が空いて、
「この大バカー!!!!!」
というお師匠様の怒声が飛んできました。
(え?!な、なんで怒られるんだろう??だって柏餅売ってないし…。いや、そうじゃなくて、今すぐ行ってこいってことなのかな…??)
と、意味のわからない私。
そうすると、お師匠様の奥様が慌てて飛び出てきて
「花ちゃん〜!かしわ言うんはね、大阪では”鶏肉”のことやねん〜!」
と教えてくれました。
「そうか〜、鶏肉のことを”かしわ”と呼ぶんだな〜。知らないことばっかりだな〜。」
と思いながらスーパーに買いに行きました。
…それからしばらくして、バイト先の先輩や同僚と飲みに行くことがありました。
皆さんほとんどが大阪の人でした。
その飲み会の席で
「大阪の人は鶏肉のことを、”かしわ”って言うんですね!」
という話を自信満々にしましたが、その場のほとんどの人は
「えー、鳥は鶏肉やろー!”かしわ”とか言わへんよ!」
と言っていました。
今思えば、世代間でも若干呼び方が変わっているものなのかなあと思います。
そんなことがあり、今でもスーパーに売られている柏餅を見ると、たまーにお師匠様の
「大バカ!!!」
という怒号を思い出します。
当時は嫌な気持ちでいっぱいだったかもしれませんが、今思えば不思議と嫌な思い出ではなく、そして自分の間抜け加減を思い出して、なんだかおかしくてニヤニヤしてしまいます。