小唄界の新人コンテスト「若樹会」に出演した思い出
こんにちは、花枝です。
三味線の中でも”小唄”というジャンルを専攻して稽古しているのですが、その小唄には新人コンテストのようなものもあります。
今回はその話を。
「くだけた唄」という意味の小唄
小唄(こうた)
と聞いても今はなかなか馴染みにくいジャンルなのかもしれませんが、”小さい”という字が表すようにとても短い三味線と歌唱を用いた楽曲です。
”小”とつくから”みじかい”というわけではなく、この”小”という字には”くだけた”という意味で使われている面が多いようです。
ですので、”小唄”とは”くだけた唄”という意味でとらえてもらってもいいジャンルなのかなと思います。
発生は江戸時代後期で、もともと端唄(はうた)というジャンルから別れていったものが「小唄」です。
明治期に発展、昭和に流行
小唄の歴史は意外と浅く、本格的に大流行したのは昭和30年ごろです。
江戸時代〜明治時代ごろに生まれた流派は
- 掘
- 田村
- 蓼
- 春日
の4つの流派でしたが、昭和30年代ごろには小唄の中でもたくさんの流派が生まれて行きました。
私は「田村」の小唄をずっと学んでいますので、田村流に所属しています。
現在では約70ぐらいの流派が存在しているそうです。
小唄の新人コンテスト「若樹会」
そのような成り立ちの小唄ですが、若手育成にも力を入れておりまして、いわゆる新人コンテスト…というか、若手コンテストの位置にあるのが
「若樹会」(わかきかい)
というコンテストです。
<日本小唄連盟HPより抜粋 http://www.kouta-renmei.org/ensoukai.html>
年齢制限もありまして、50歳までという枠が定められています。
コンテストなので、優秀者には「若樹賞」という賞が贈られます。
平成22年(2010年)若樹会に出演しました
私は今から8年前の2010年、「平成22年度若樹会」に出演しました。
小唄は基本的には
- 三味線(一人もしくは二人)
- 唄(一人)
で出演します。とてもコンパクトです。
演目は2曲と決まっております。
私はこの若樹会で
- 年の瀬
- 地廻り
という曲を唄いました。
「地廻り」については過去記事で解説させていただきました。
若樹賞受賞!しました !!…が
結論を先に言うと…初めての出場でしたが、若樹賞をいただきました。
嬉しかったですし、ありがたかったです。
でもこの日は本当にうまくいかなくて、私の中での感想は一言で言うと
「最悪」
でした。
練習ももちろんたくさんしましたし、直すところも直してベストな体調で望んだのに、舞台から降りた時に達成感のようなものは全くありませんでした。
むしろ上手くいかなかったという思いばかりが頭の中でいっぱいでした。
結果待ちで座席に座っている時も気分がず〜んと沈んでいて、
「なんであんなに練習したのにうまくいかなかったんだろうっ…!」
と福本伸行の漫画のキャラクターよろしく心の中でボロボロ…泣いていました。
最後の結果発表の時に名前を呼ばれても、しばらく気がつかないぐらいショックすぎてぼーっとしていました。
でも、若樹賞受賞者の中には私の名前があって、間違いなく呼ばれていました。
「上手くいったと思った面接で落とされる」
というジンクスのように、
「上手くいったと思った舞台で結果が散々」
みたいなことってあるのでしょうか?
「上手くいかなかった」
と感じている時の方がいい結果だったりするのでしょうか??
結局2010年の若樹会が最後のコンクール出場だったので、なんともサンプルが少ない状態です。
そんな初めての小唄コンクールのことを、ふと先日の東京でのお稽古の時に思い出しました。
蛇足ですが、イラストは田村流のホームページの寄稿文に載せようと思って描いたイラストです。今の所お蔵入りになるか、もう少し先にするか、書き直すか、ホームページ担当として考えているところです。
関連記事
★若樹会で歌った「地廻り」
★小唄の春日流について
★実は宮本信子さん、若樹商の先輩だったそうです。