心とアタマにレコードの針を落とした日
2015年、ほとんどアメリカで過ごした一年間でした。初めての長期海外で、間違いなく自分の人生の中で、忘れ難い一年になったことは間違いありません。
その時の備忘録
今回はアメリカで働いていた時に聞いていた音楽と思い出の話。
「ゲスの極み乙女」をよく聞いていたアメリカでの一年
音楽は人生と共に、と言うように「どこかで聞いた何かの曲」は、ふと聞き返した時にその時の思い出も一緒に思い出されます。私の場合、その忘れ難いアメリカでの一年を思い出す曲…曲というよりも、バンドはなんだったのかというと、それは「ゲスの極み乙女」だったのです。
渡米直後からずっと聞いていたのは、ゲスの極み乙女の「みんなノーマル」でした。彼らの曲を初めて聞いたのは、ラジオで流れたパラレルスペックから。その後はパラレルスペックだけ聞いていて、ずっと「面白いバンドだな~。」と思っていました。
渡米直前、なぜか思い出したかのようにパラレルスペックの入ったアルバム「みんなノーマル」をダウンロードしました。
渡米直後は随分と寮の部屋で聴いていたものです。少し思い出しても懐かしいのは、ルームメイトに聴かせて反応を聞かせてもらったことなんかもありました。
忘れがたいバンドになった理由がある
ゲスの極み乙女は3つの理由で私にとって忘れ難いバンドになりました。
一つ目は、もちろん渡米中によく聞いていたからです。あとは上司がなぜかゲスの極み乙女を知っていて、その上司とゲスの極み乙女の曲について、少しですが語ったこともありました。
上司の印象は「すごく楽しそうに演奏するバンドで、見ていて気持ちよかった。」とのことでした。それはもう首がもげるぐらい激しく頷き同意できるコメントでした。
二つ目の理由は、普段全く見ない紅白歌合戦をルームメイトと一緒に見たというのがあります。ゲスの極み乙女が出るということで、随分私も興奮していましたし、彼らの出番の時は「出たよ出たよー!!!」と騒ぎまくっていました。ルームメイトもテンションぶちあげの私を見て面白がっていたようです。
初めての海外紅白でゲスの極み乙女を見れたのは大きな印象深いイベントの一つでした。(星野源も良かった。)
最後の理由は、紅白後の不倫スキャンダルです。これはもうテレビや雑誌などで皆さんご存知のことですから、ここに書くまでもないでしょう。
不倫スキャンダルはアメリカにいる私たちも知っておりましたが、同時期のSMAP解散騒動で話題の中心ではなかったように思います。ですが、私がゲスの極み乙女のファンだと知っている友人からは「あのニュースどう思う?」と何回か聞かれました。
私にとっては不倫騒動そのものの存在が謎だった
正直なところ、不倫していたからといって彼らの音楽に対する畏敬の念は消え去ることもありませんし、スキャンダルそのものや川谷本人に対してもベッキーに対しても何とも思いませんでした。(ただまあ、まさか不倫で全国区スキャンダルをするとは思ってなかったので、それは驚きでした。)
何をさておいても異常に見えたのが、両者に対する執拗なまでのバッシング記事やコメントでした。アルバム発売も控えていたので、両成敗というキーワードやゲスを使っての大喜利もよく出ていましたが…そういった空気が日本全体にあるのかと思うと、あのスキャンダル当時日本にいなかったことは自分にとって何より幸いでした。見ていたらとても不愉快にになっていたと思うので。
同僚もまるで日本のワイドショーよろしく「ベッキーは悪いですよ。謝らなきゃいけませんよね!」と言っていたので、「なんで?」と聞いてみたのです。そうしたら「世間のイメージを裏切って不貞行為をしたから。」だと言うのです。
でも、ベッキーの不貞行為って、その同僚と何の関係があるんでしょうかねえ?
同僚は別にベッキーのファンでもなかったし、芸能プロダクションの関係者でもありません。その彼女が、なぜ「謝らなきゃいけませんよね!」と言うのでしょうか?
あの時の釈然としなかった気持ちも思い出す
なんだか釈然としないスキャンダルだったなあと思います。ただこのスキャンダル以降、日本語の「ゲス」がこれほどまでに頻繁に使われる日が来るようになったとは…。
ある意味日本語が少し変わった瞬間でもあったなあと思います。(でもこの現象、ちょっと前に流行った「何でもかんでも”進撃の”と付ける現象」によく似ています。)
今でもパラレルスペックやノーマルアタマ、サカナの心を聴くと思い出すのです。あのオーランドの抜けるような青、ぎいぎいと鳴くリス、部屋のあの匂い、職場までの道のりを。