ずっと演者のテンションが高いワンピース歌舞伎
本日公開日の「シネマ歌舞伎 スーパー歌舞伎Ⅱワンピース」を観に行った。
普段レディースデーやら割引を使って行くので、1800円の前売りに映画の通常料金の高さを思い知らされつつも(でも前売りを買わないと2100円を払う羽目になる。)クリアファイルがつくので、それの代金だと思うようにした。
とりあえずそのファイルに描かれている、ルフィ、サンジ、ゾロ、ナミ、チョッパー…あ、それ以外のメンバーがもう分からない。これで大丈夫なのか?ついていけるのか?私。
観客の9割は女性だった。小学生もいる。おそらく「ワンピースだから」という理由で観に来たのだろうが、こういう子供が案外市川右近ファンだったりするかもしれない。私だって初めての歌舞伎鑑賞は10歳ぐらいだった。
主演の市川猿之助…というと、私はイメージするのが三代目(現在の二代目猿翁)だ。未だにちょっと慣れていないのは、やはり市川猿之助の歌舞伎を見れていないからであろう。分からないのだ。
四代目市川猿之助の話に戻る。最近の映画だと「超高速!参覲交代リターンズ」で徳川吉宗を演じている。上様感漂う高貴な御姿が一転、ノースリーブの半パン姿になると思うとワクワクが止まらなかった。
上映時間は2時間半ほどあっただろうが、全く時間を感じさせず、うまくまとめられていた。
ワンピースを知らなくても楽しめるように、所々解説付きだ。ありがたい。
漫画を知らないので「漫画だと◯◯巻ぐらいの話だよ。」と分かりやすく説明できないが、海軍との戦いで仲間とはぐれたルフィが処刑直前のエースを救出し、海軍と戦い、エースとその仲間白ひげを失ってしまうが、それを乗り越え仲間と再会する…という話だった。
最初は色々とネガティブな意見も多かったようで、「こんなの歌舞伎のよさもワンピースのよさも消している」という声もあったそうだ。
だが、ワンピースのテンションの高さと歌舞伎のテンションの高さはマッチしていたように思う。派手で、分かりやすくて、見ていて気分がいい。そういうもんじゃなかったっけ?歌舞伎って?
もともと歌舞伎なんてテンションの高い大衆演劇だ。その時代に流行っている出来事を芝居にして、派手な演出で民衆からの支持を得ていたのだから、それを今この現代にやっているだけ。猿之助の作品の目の付け所は、とても良かったように思う。
衣装も良かった。特にルフィの衣装がルフィの状態によって少しづつ変化しているのが面白い。他のキャラの衣装も歌舞伎の要素を残しつつもワンピースのキャラをイメージさせていて、これのアイデア出し合っていた現場はきっと賑わっていたのだろうなと思う。
演出は水や紙吹雪、プロジェクションマッピングなどを駆使して、非常に派手だった。立ち回りも見事でとても見ていて気持ちが良い。
気になる台詞回しも、ほとんど現代劇と変わらない。分からない言葉も少ない。「永遠」を「永久(とこしえ)」と言ったりするところもまた良い。最初の麦わらの一味の紹介は「白浪五人男」のようで、そのような演出は歌舞伎ファンにグッとくるんだろうな。
と思いながら、エンドクレジットを見ていた。
そのあとに大きくワンピース歌舞伎の追加公演の案内がされていた。2017年10、11月、新橋演舞場だ。
どこまでも商売上手な奴…と思いながら、チケット情報を今探している。