マイベスト粗忽エピソードを話すと汚い話になった
こんにちは!
パスポートの残存日数が足りず、ドイツ行きが危ぶまれた花枝です。
おかげさまで、無事書類提出できまして、なんとか旅行までに間に合いそうです。
本当にお騒がせというか、我ながら呆れます。
こういう人を、粗忽者と呼ぶんですよ。
そ・こ・つ・も・の!
(藤原竜也の「う・わ・き・も・の!」の発音で)
「私の人生の中で出会ったもっとも粗忽な人」
というのをテーマに作文をしたという話が、内田樹の本に載っていた。
粗忽者と聞くと落語に出てくる長屋の八つあん(まあ、そこらへんにいる兄ちゃんみたいなポジションの人です。)しか浮かばない私は、粗忽な人を思い浮かべてもまずは「自分」が浮かぶという粗忽っぷり。
とはいえ、他人で誰か粗忽な人がいただろうかと考えたが、精一杯考えても思い浮かばない。
というわけで、自分のマイベスト粗忽エピソードを語ることにする。
23歳の誕生日、私は北京にいた。
これだ、このハクさんのツアーの時の話だ。(ハクさんについてはこのエピソードをお読み頂きたい。)
そのハクさんツアーの北京で、私は23歳の誕生日を迎えたのだ。
その日の観光地は北京の古い町並みをそのまま残した胡同(フートン)地区の観光だった。
場所で言えば紫禁城(故宮博物院)の北側に当たる、什刹海(じゅうさつかい)と呼ばれるエリアにいた。
フートン地区には昔ながらの一般家屋が今も保存されており、築200年を超える民家がゴロゴロある。そのなかでも「四合院造り」と呼ばれる中国の古典家屋の建築様式で建てられた民家は趣があって非常に興味をそそられた。
ざっくりいえば、中庭を囲むように家屋が配置された家だ。
中庭で修行に励むジェット・リーとかが出てきそうで、もうそれだけでも大興奮である。(もちろんジャッキーチェンも大好きだが、私はジェットが好きだ!)
四合院の説明は詳しくはどうでもいいのだが、そのフートン地区は昔ながらの趣を残すため、公共トイレも昔ながらの趣を残した造りになっている。
早い話がボットン便所だ。botんではない、ボットンだ。
そのボットン便所で用を足すのも観光の目玉らしく、私も喜んで用を足すことにした。ジーンズをおろして用を足す。そもそも囲いがないので、お隣同志の顔も見える。なんて他人との距離が近いお手洗いなのだろうか。
用が済み、ジーンズをあげるとともに、
ガンガンガラガラ!!!!
という音が鳴り響いた。その音が暗闇のなかに消える。
音が糞尿の彼方へ消えた後、私の後ろポケットに携帯入っていたことに気づいた。
私は自分の誕生日の日に自分の携帯をゲゲゲの鬼太郎の糞仙人に弟子入りさせたのだ。
(わからない方は”糞仙人”でググろう!きっと衝撃を受けるぞ!!)
このベストオブ粗忽経験を経て、私は得難いものを得た。
それは
「スマホの画面割れた!」
とか
「スマホ無くした!」
とかそういう小さいことで嘆き悲しむ友人に
「いや、私自分の誕生日に北京のボットン便所に携帯落としたから大丈夫だよ!」
と話せることだ。全く大丈夫でもなんでもないが、大抵の友人はそれで笑ってくれる。
しかも不思議なことに、そのエピソードを話すと
「スマホが戻ってきた!」
という嬉しいご報告も多々聞く。
私の携帯は糞尿まみれで戻ってこなかったので殊更に腹が立つが、過ぎたことを嘆いても何にもならない。
そもそも糞尿にまみれた携帯を再び使い始める難易度Eは私にはできない。
おそらく糞仙人の素で修行に励んだ私の携帯が、友人のスマホを救ったのだろう。単に友人の得が高かっただけとも言えそうだ。
というわけで、皆さんも尻ポケットのスマホにはお気をつけください。
フートン地区の公衆トイレに落とすと100%戻ってきません。