「夢の国」の労働環境について思うこと
こんにちは。花枝です。
備忘録がてら、思ったことをつらつらと。
昨日見た記事で心にグサッと刺さったものがあったので、紹介します。
この問題、とても大きな問題になっていますよね。
東京ディズニーリゾートでの職場環境問題、パワハラ問題についてかかれています。
うまくまとめられませんが、私もかつてのディズニーキャストだった身として、思うことを書いてみようと思います。
まず、記事タイトルの罵詈雑言がもう辛くて…。実際に記事を読むとかなり過酷な労働状況だったことが伺えます。本当に大変な中、働かれていたんですね。
意見陳述では「ゲスト(お客さん)の笑顔を支えにしてきました。この仕事が好きで、ずっと続けたいと思っていました」と振り返るも、「この仕事は過酷です」「熱が出たりケガをしたりして休業すれば白い目で見られます」「仕事を休む場合は自分で代替者を確保すルールがありました」と業務実態を語りました。
ディズニーで働く方(”キャスト”と呼びます)はディズニーが好きだったり、仕事熱心な方が本当に多いのですよね。だからこそやりがい搾取が横行しやすいような気もします。
Bさんは13年8カ月にわたりオリエンタルランドで勤務してきた女性。キャラクター出演者として勤務する際、ゲストとのふれあい時に右手薬指を故意に反対側にひねられてねんざを負うという事象が発生し、上司に労災を申し出たところ「エンター(エンターテイナー)なんだからそのくらい我慢しなきゃ。君は心が弱い」と一蹴されたと訴えます。
これは本当に酷い話です。
キャラクターにはスタッフが付いているのですが、それでもこのような事件が起こってしまうのですね。
私も1年間だけですが、アメリカのディズニーで働いたことがあります。
ちなみに、ご存知の方も多くいますが、日本のディズニーリゾートを運営しているのはオリエンタルランド。本国アメリカのディズニーリゾートとはかなり勤務形態は違うと思います。
アメリカと東京だと全く労働環境も働くことに対する心構えも違うでしょうし、細かいところを言えば働くポジションによっても大変さはもちろん変わってくると思います。
私はレストラン勤務で、ゲストの前でお寿司を作る仕事をしていました。いわゆる調理担当部門です。
ゲストの目の前で調理していますが、ゲストとの会話は多少あったものの、ふれあいらしいふれあいもそれほど多くはなかったです。
1年間の勤務の中で、「パワハラだ!」と思うような問題が起きることはありませんでした。特に問題のあるゲストに当たることもなく、無事に1年間の勤務を終えることができました。
雇用はディズニーの直雇用ではなく、雇用主は「米国三越」という会社でした。(百貨店の三越です。)
勤務に関してのルールは”ディズニーが定めたルール”にプラスして、”米国三越のルール”に沿っていました。
例えば、身だしなみ規定に関してはディズニーの定めた身だしなみ規定よりも、米国三越の方が厳しいですがそのルールに沿って…といった感じですかね。
AさんとBさんはエンターテイナーの仕事ですので、特にゲストとのふれあいが多いポジションです。ディズニーのエンターテイナーを目指している方も多いですし、仕事の中では”花形”だと思うのですが、そんな仕事の内情がこんなに酷いことになっていることに驚きました。
私はエンターテイナーポジションではないので実際の内情は分かりません。ですが、アメリカのディズニーエンターテイナー配属の友人からの話を聞く限り、記事中のBさんが訴えたような酷い事件がアメリカのディズニーパーク内で起こることはごく稀だと思います。
ゲストがキャストに暴力を振るうようなことがあれば、キャラクター専属スタッフと警備が飛んで来ます。
(これは警備とキャストがその場の安全に対しての”責任”があり、ゲストはそれを遵守する義務があるという暗黙の領域があるからなのかなと思います。)
アメリカで一緒に働いていた同期の中には東京ディズニーリゾートでの勤務経験がある方も多くいて、勤務に関する様々な話は聞いていたのですが、やはり
「うーん、やっぱ東京ディズニー勤務は大変だよね。ゲストめちゃくちゃ多くて常に人は足りないし、その上求められる接客レベルは高いしやることが多いからね。」
という話を聞くことが多かったです。
やはり東京ディズニーは他国のディズニーリゾートに比べ、接客のレベルが高いと感じます。高い、というよりかは、私は若干”過剰”だとも思いますが、そういった”過剰”な接客が暗黙の領域で求められていることも「大変さ」の原因かなと思います。
東京ディズニーリゾートよりもアメリカのディズニーリゾートの接客は、いい意味で”適当”なところがあります。キャストの知識が割と適当だったり、タメ口だったり、注文間違いがあったり、明らかにやる気ない〜顔だったり。素敵な対応をしてくれるキャストももちろん多いんですけど、それほどバイト代もすごく良いわけではないので、よく言えば”バイト代に見合う働きでも問題ない”という雰囲気はありました。
あと、福利厚生ですね。
アメリカのディズニーでは、私のような期間限定のアルバイトにでも
- パークの年間パス(もちろんブロック・アウト・デイはあります)
- ギフトショップ従業員割引
- 宿泊の従業員割引
- レストランの従業員割引(最大で40%OFFとかも)
- 移動用の無料バス
- キャリアアップセミナー
- キャスト用イベントの招待
などの支給はありました。
今回の記事にも書かれていますし、もともと知っていたのですが、東京ディズニーリゾートは年間パスもらえないんですよね。
ディズニーが好きで働いている人も多いでしょうに、年間パスの支給がないのですね。
AさんもBさんも、職場環境の閉塞感も指摘されていましたが、それはアメリカのディズニーでも少しだけですが感じるところはありました。正確には、アメリカのディズニーというより、私が働いていた場所だからこそ感じたのかもしれません。
東京もアメリカも、ディズニーパークは本当に素晴らしいエンターテインメントの世界だと思いますし、平均値を見れば接客レベルも高いです。私もかつてそうであったように、ディズニーパークで得られた素晴らしい体験があったからこそ、ディズニーキャストを志す人も多いのです。
完成度の高いエンターテイメントと素晴らしい接客は、過酷な労働環境でしか生み出せないものでは決してないと思います。
そりゃもちろんアメリカのディズニーリゾートだって問題がないわけではないと思います。
アメリカのディズニーリゾートのウォルトディズニーワールド(WDW)は、世界中からキャストを期間限定のアルバイトとして採用しています。それは
Disney Internship Program
という、『ディズニーが提供するインターンシップ制度』という名目で、世界中の若者を集めています。日本でも提携している大学はありますし、世界中の大学からディズニーで働きたい若者が集まって来ます。
私が働いたプログラムも、その一環です。
アメリカに住んでいる一部の人は
「ディズニーは安い賃金で若者を雇ってる!期間限定だから問題を提言しても次々に新しい人が来るから問題ないと思ってる!」
という人もいました。
ですけど、寮は完備しているし、働くためのビザ(アメリカで働くためのビザはそう簡単には取れません)はディズニーのビッグネームの元に許可されています。
ただ、私が知らないだけで、アメリカのディズニーでもパワハラがあったり問題があるのかもしれませんが…。
私はディズニーが大好きなので、このような酷い環境で東京ディズニーのキャストの皆さんが働いているのかと思うと辛いです。
働くキャストの皆さんの待遇が少しでもよくなります様に。そして、良くなるために私ができることはないものだろうかと考えています。